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敷金トラブル 

敷金を取り戻す(おいくらですか)=訂正あり
2004.12.23 東京朝刊 20頁 生活2 写図有 (全2,147字) 
 賃貸住宅の敷金返還を巡るトラブルが、後を絶ちません。特に、退去時に法外な原状回復費用を請求されるケースが問題になっています。国の指針では、借り主が「通常の使用」をしていれば修繕費用は負担しなくてよいと定められています。不注意によるキズやひどい汚れはともかく、不当な請求には、毅然(きぜん)と対応するのが肝心。少額訴訟で取り返すことも可能です。(古澤範英)


 都内に勤める男性会社員(42)は、4年間住んだマンションを引き払った昨年12月、請求書に目を疑った。原状回復費用が計34万3千円必要で、敷金の32万8千円全額に加え、1万5千円の追加払いを、との内容だった。部屋は普通に使っており、目立つ傷や汚れもない。仲介業者の説明ではクロスの張り替え、畳や鍵、床板の交換費用だという。

 ネットで敷金問題の無料相談を受けている「ネゴシエーターズ」(http://www.nego.co.jp/)の助言で、敷金返還に関する国土交通省のガイドラインを取り寄せた。通常の使用や経年変化による汚れや傷の修繕は貸主負担、との原則が明示されていた。

 だが、業者はガイドラインのコピーを送っても、「払ってもらう」の一点張り。家主も「業者に任せてある」と取り合ってくれない。思い余って「訴訟を起こす」と伝えたとたん業者は折れ、25万3千円なら敷金を返すと打診してきた。冷蔵庫裏が黒ずんだクロスの交換代7万5千円は、払ってほしいという。退去から2カ月半。生活を落ち着かせたい思いもあって妥協した会社員は、「疲れ果てたが、泣き寝入りは嫌だった」と振り返る。

 ネゴシエーターズの鈴木和幸さんは「相当の悪徳業者でなければ、ガイドラインを指摘するだけで不当な要求は引っ込める」と言う。「補修費用は借り主負担」などの特約条項があっても、契約時に十分な説明がなければ消費者契約法で無効、とした判例もある。「筋の通らない請求を跳ね返すには、最低限の知識を身につけて強い姿勢で臨むこと」と助言する。

   *

 国民生活センターへの敷金返還トラブルの相談は、03年度で約1万3千件。旧建設省が判例などを基にガイドラインを設けたのは98年だが、強制力がないこともありトラブルは絶えない。関西などには、敷金や保証金の一定割合を返さない「敷引き」の習慣もあり、問題を複雑にしている。

 日本賃貸住宅管理協会はガイドライン順守を呼びかけているが、同協会原状回復研究部会の松田恭治さんによると、「きちんとした資格がなく見識の低い業者も少なくない。物件の仲介を引き受けたいため、家主に強く言えないという事情もある」という。

 神奈川県内に10店舗を持つウスイホームは、特約をつける場合は退去時の賠償などについて具体的に明記し、契約時に時間をかけて双方の合意を得てきたという。貸主の研修会でも判例などを説明している。同社賃貸管理本部の木部浩一さんは「借りる側も時間を惜しまず、契約時に十分納得できる説明を求めてほしい」と話す。

   *

 東京都は10月、全国初の賃貸住宅紛争防止条例を施行し、特約を課す場合の十分な説明などを業者に義務付けた。首都3県も、9月から同様の行政指導を始めた。

 敷金問題に取り組む弁護士らは11月、賃貸住宅トラブル全国ネットワーク(連絡はファクスで06・6633・0494へ)を設立。同ネットの増田尚弁護士は、泣き寝入りせず、専門家に相談するよう呼びかけている。敷金にからむ相談は、全国の消費者生活センターでも受け付けている。


 ■42歳の会社員の場合

 <敷金(家賃2カ月分)>  32万8千円

 <請求された原状回復費用> 34万3千円

 (内訳は畳、障子紙、鍵、床板交換など)

 <支払いに応じた金額>    7万5千円

 (冷蔵庫裏のクロス交換代のみ)

 <最終的な敷金返還額>   25万3千円


 ◇ココに気を付けて

 <国交省のガイドラインと貸主、借り主の負担> 国交省のガイドラインは、借り主が負うべき責任について、故意や過失で、通常でない使い方をしたために生じた傷や汚れなどを復旧すること、としている。普通に日差しを浴びた畳やクロスの変色、冷蔵庫の後ろの壁の黒ずみなどの汚れや、生活して自然についた微少な傷の修繕は貸手の負担、というのが原則だ。



(ほっと暮らし情報)賃貸住宅退去トラブル 借り主負担、契約時に確認を/兵庫県
2008.03.05 大阪地方版/兵庫 23頁 淡路 (全822字) 
 10年間住んだ賃貸マンションから退去した。敷金35万円、敷引き20万円で15万円返金の予定が、特に汚していないのにフローリングの張り替え代など、さらに24万円を請求されている。支払わなくてはならないか。(30代、女性、会社員)

 3~4月は賃貸住宅の退去や入居の多い時期で、賃貸住宅に関する苦情相談が多く寄せられています。

 賃貸住宅を退去するときには、借り主は部屋を原状に戻して返すことになっています。エアコンや棚などを取り付けたら取りはずす、借り主の落ち度で汚したり壊したりした部分は修理する、などの義務があります。しかし、経年劣化(クロスの日焼けなど)や通常の使用で生ずる損耗(家具の設置によるカーペットのくぼみなど)については、貸主が負担すべきだとされています。

 この事例では、経年劣化については借り主が負担する必要はないので、修理代の明細をもらい、自分の負担すべき範囲を明確にし、敷金の返還を求めるよう助言しました。

 国土交通省は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で、原状回復の費用負担のあり方などについて一般的な基準を示しています。原状回復を「建物価値の減少のうち、借り主の故意・過失、注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(きそん)を復旧すること」と定義し、貸主の負担すべきものと、借り主が負担すべきものを例示しています。借り主が損害を負担する場合でも、壁紙なら部屋全体の張り替えではなく、最小単位の費用負担でよいなどとしています。

 トラブルを防ぐためには、入居時、退去時に貸主と借り主が立ち会い、チェックリストを元に、部屋の状況を確認しておくことです。

 賃貸借契約では、原状回復について特約を定めることは可能ですが、消費者に一方的に過大な負担をさせる条項は、消費者契約法に反し無効との判例もあります。契約時、退去時の原状回復の条件を確認しておくことが大切です。

 (神戸生活創造センター 電話078・360・0999)




(わが家のミカタ)賃貸愛ス「借リガリ君」:5 最後は「訴えてやる」
2007.03.14 東京朝刊 24頁 生活2 写図有 (全1,982字) 
 敷金返還。ああそれは、賃貸最大のトラブル。でもご存じでした? 普通に生活する限りは、原則全額返してもらえるってことを。賃貸特集締めくくりは、敷金の明るい回収マニュアル。ここまで読めば、あなたはもう借リガリ博士。(石井暖子、神田剛)

    ◇   ◇

 「敷金は一切返さないと言われて……」

 消費者機構日本(東京)が2月に開いた賃貸相談にはこんな電話が相次いだ。

 「原状回復」を理由に修繕代を敷金から差し引かれたり、追加代金まで請求されたりするトラブルはこの時期、後をたたない。

 「とんでもない。普通に暮らしてついた汚れや傷の修繕分は、家賃で支払い済みです」。力強いアドバイスは、大阪で「敷金問題研究会」を主宰する弁護士の増田尚(たかし)さん(34)からだ。

 そもそも敷金は、家賃の不払いに備えて、お金を大家さんに預けるもの。入居中の修繕義務は大家さんにある。だから、退去時も通常の生活でついた汚れや傷、劣化した分などの「自然損耗」は大家側の負担。

 この考え方は、最高裁をはじめ、敷金返還訴訟の判決で定着済み。さらに東京都は04年秋から、契約時にこの原則を客に説明するよう不動産業者に義務づけた。いわゆる「東京ルール」とはこのことだ。

 だから根拠は十分。判例の積み重ねがあるので、東京以外の物件についても、理不尽な請求には堂々反論のバトルが可能だ。国土交通省がこうした判例を元に、大家と住人が負担すべき区分のガイドラインを出している=図。

 例えば、壁紙やたたみの日焼け、壁の画びょうの穴、テレビの後ろの壁の黒ずみ(電気焼け)は、大家側負担の自然損耗の範囲。

 一方、故意や過失でつけた傷や、手入れ不足が原因のものは住人負担の対象に。例に挙げられたのは、汚れを放置した換気扇やカーペット、ペットがつけた傷、下地ボードの交換が必要な壁のくぎ穴など。その負担も、壁紙の交換なら原則1平方メートル単位、たたみなら1枚からと最小単位が原則。

 まして次の入居者を募るためのリフォーム費用は払う必要なし。原状回復は入居前の姿にすることではない。遠足じゃないんだから、「来た時よりも美しく」まではしなくていい。

 特約で自然損耗も住人負担とする契約もあるが、これにも対抗手段がある。

 01年4月施行の消費者契約法は、消費者の利益を一方的に害する契約を禁じた。「だから特約は無効」と増田さん。法施行前の特約でも、家賃との二重取りを主張して争えるという。

 そして、相手に理屈が通らない時の最終手段はこれ。「訴えてやるっ」

 請求額が60万円以下なら、少額訴訟といって自分で簡易裁判所に起こすことが出来る。審理は原則1回。ドラマみたいに激論を交わす必要なし。裁判官と司法委員から淡々と話を聞かれて、約30分であっけなく和解案や判決が。

 証拠となるのは、契約書や修繕の請求書、部屋の写真。入居時に写真を撮り、業者から現況を書面にしてもらっておくと心強い。

    ◇   ◇

 注意したいのは、関西に多い「敷引き」だ。敷金の何割かを退去時に差し引くことを事前に決めるもの。昨年、大阪高裁で敷引きを無効とする判決も出たが、「最高裁の判例がまだない。敷引きは訴訟前に専門家に相談して下さい」。

 増田さんは礼金や更新料の根拠にも懐疑的だ。「統制令で家賃に上限があった時代に、よりお金をとるためにできた習慣らしい。これも焦点になるでしょう」

 もうひとつ増田さんが気にするのが、昨年12月に出た規制改革・民間開放推進会議の第3次答申だ。

 ここでは損耗の範囲について「賃貸人、賃借人の間の合意形成に有効な方策」を検討すべきだとある。

 「合意があれば、住人負担とさせる動きと読めなくもない。従来の流れに逆行しないか、注視する必要があると思います」

 (完)

    ◇

 来週は、住宅金融公庫改革でどうなるローン。「おや、コーコしたい時に公庫なし?」です。

    *

 トラブル防止には東京都のガイドライン(http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/tintai/310-3-jyuutaku.htm)、敷金問題研究会のサイト(http://hccweb5.bai.ne.jp/~hea14901/index.htm)が参考になる。


 ■通常の使用なら住人負担なし(国交省や東京都が示す一般的な負担区分の例)

 <大家>

 次の入居者確保のための改装

 たたみ表替え(破損していない場合)

 壁のたばこのヤニ汚れ(クリーニング可なら)

 家具によるカーペットのへこみ

 テレビ裏の壁の黒ずみ

 壁の画びょうの穴

 壁のポスターや絵の跡

 エアコン設置による壁のビス穴

 日照による壁の変色

 ハウスクリーニング

 鍵交換(破損、紛失を除く)

 トイレの消毒

 日照による床の変色

 冷蔵庫裏の壁の黒ずみ

 台所の消毒


 <住人>

 ペットがつけた柱の傷

 飲み物をこぼしたまま放置したカーペットのしみ

 手入れ不足による換気扇の油汚れ

 キャスター付きイスによる床の傷

 手入れを怠ったカビや水あか汚れ




(beeクリニック マネー外来)敷金返還:下 実際の交渉は 部屋の記録が決め手に
2005.11.19 東京朝刊 5頁 be週末b5 写図有 (全2,560字) 
 賃貸住宅を退居する時の敷金の返金をめぐり、「原状回復」がカギになることを前回説明しました。今回は交渉の具体的な注意点です。少し手間はかかりますが、こうした心構えや準備で思わぬ損失を防ぎましょう。(松浦新)

 Q 敷金の考え方はわかったけど、正当な主張でも実際の交渉で認めさせるのは難しい。具体的にはどうしたらいいの。

 A まず、入居の時から意識しないといけない。国交省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」や日本住宅性能検査協会のマニュアルをもとに左にまとめた表を見てほしい。借りる家が決まったら、キズや汚れをチェックする。問題個所は写真を撮ったり平面図に印をつけたりして記録を作る。大家さんや管理会社に立ち会ってもらい、記録の控えを渡しておく。協力が得られなければ、記録を郵送する。国交省のガイドラインに確認リストがあるので、活用してもいいだろう。

 Q ちょっと大げさすぎない?

 A 新築の貸家は別にして、最初の状態を確認しておくと、トラブルになった時に証拠になる。前回説明したように、借り手が通常の生活をしていてついたキズや汚れは修復する義務がない。もし修復するにしても、壁紙のような内装材は6年で残存価値が1割になる計算で費用を負担すればいい。たとえば、壁紙を張ってからどのくらいたっているかといったことも確認したいね。

 Q 知らない人と同じ鍵は使いたくないから、鍵は新しくしたい。大家さんに交換を求めることはできるの。

 A 大家さんは、借り手が安全に暮らせるような設備を設ける義務がある。退居する時に鍵の交換費用を求められることがあるけど、それは大家さんの責任だから、負担する必要はない。ただし、オリジナルである元々のキーをなくすと抗弁できないから、コピーを作って、元々のキーはきちんと保管しておくようにしたい。鍵をシリンダーごと交換すると、1万2千円前後かかるということだよ。

 Q 借家人賠償責任保険証って何?

 A 火災や爆発事故で、借りた家に被害を与えた場合に保険金が出る保険の保険証だ。最近は入居時の契約で義務づけられることが多い。契約期間は2年が多いので、退居時に期間がきていなかったら、保険会社に中途解約払戻金を請求するのもいいし、次に借りる家の保険に回すこともできる。

 Q 退居する時にも写真を撮っておくの?

 A 精算は退居後だからね。立ち会いの時に、特に指摘がなかったのに、思ったように敷金が返って来ない、なんてこともある。その時には改装が終わっていることが多いから、念のために証拠を残したいよね。

 Q 自分に落ち度がある場合、大家さんの言い値で修理をしなければいけないの?

 A そんなことはない。不当な請求だと思ったら、交渉もできるよ。下の表に修繕費の目安を示したから参考にしてほしい。地域によって相場が違うので、修繕費が高いと思ったら、近所のリフォーム業者に相談してみたらいい。表は新品にする時の費用なので、借り手の責任の度合いに応じて負担は減るはずだ。

 Q 相談に乗ってもらえるところはないの?

 A 不動産適正取引推進機構では国交省のガイドラインが入手できるし、相談にも乗ってくれる。日本住宅性能検査協会は、2万円と交通費で退居する時に立ち会いをしてくれる。また、リカバリジャッジ(本社・名古屋)という会社は今年7月から敷金トラブルの解決サービスを全国展開している。10月からは新サービスを始めた。退居前に2万円でサービスを申し込んでおき、国交省のガイドラインに沿った敷金が戻れば、その2万円が返ってくるんだよ。

 Q どういう仕組みなの?

 A 申し込むと、自分で家の状態を記録するマニュアルやチェックリストが送られてくる。大家さん側から精算書類が届いたら、退居前に作った記録と一緒にリカバリジャッジに郵送する。同社が記録をもとに査定をして、大家さん側の査定より3万5千円超の敷金が戻ると判断した場合で、客である借り手に交渉の意志があればそれを支援する。この場合、大家さんから追加で戻る敷金が2万円以上あれば借り手にメリットがある。借り手が交渉するメリットが少ないと判断した場合は同社に払った2万円が戻るんだ。

 Q もめて裁判になることもあるみたいだね。

 A 簡易裁判所の少額訴訟の制度を利用する人が多いよ。当事者による訴訟が多く、費用は請求額が上限の60万円の場合で1万1600円だ。1日で判決まで出る。日本住宅性能検査協会もリカバリジャッジも簡易裁判まで支援をしてくれる。

 ○8割が短期で解決 リカバリジャッジ・石田秀樹社長 多くのオーナーが敷金の本来の意味を誤解していると思う。そのため当社の査定内容を理解するとすぐにその多くが正当な形で敷金を戻す。これまでの200件余りの実績で、短期間に8割以上のお客が敷金の取り戻しに成功した。

 内容証明郵便や少額訴訟に進んだケースはそのうち1割程度だが、結局は当社の査定に近い結果が出ている。残りの2割弱は進行中だが、解決される日も近いと思われる。

 当社は行政指導や判例を基に独自のガイドラインを設け、査定をしているだけだが、業界内でも、国のガイドラインを知っている人はまだ少ない。この考えは5年もすれば標準化するだろう。

 ■敷金を確実に返してもらうためのポイント

 <入居時>

 ・問題個所がないかチェック

 ・汚れやキズがあれば写真や平面図に残す

 ・鍵は大家の負担で新品に替えてもらう。鍵はなくすと取り換えを求められるので、コピーを使い、オリジナルは保管する

 ・借家人賠償責任保険書を賃貸借契約書とともに保管する

 <退居時>

 ・クロスのはがれなどを木工用ボンドで補修する

 ・管理会社などの立ち会いで、入居時の記録をもとに新たなキズや汚れを確認し、それが通常の使用を超えるものかを確認する。写真も撮っておく

 ・借家人賠償責任保険の中途解約金を返してもらう

 ◇補修の施工単価の参考例

 (日本住宅性能検査協会による。地域差がある)

 作業内容             単位       費用(円)

 ビニールクロス張り替え     平方メートル   1000~1200

 ふすま張り替え(普及品)     枚        2300~3000

 ふすま張り替え(中級品)     枚        3000~4000

 フローリング修理(キズ、へこみ) 平方メートル   5000~

 畳敷き(新畳、並)        畳        9000~

 畳表替え(並)           畳        4000~

 ◇困ったときの連絡先

 不動産適正取引推進機構     03-3435-8111

 日本住宅性能検査協会      03-5568-3250

 東京都・賃貸ホットライン    03-5320-4958

 国民生活センター        03-3446-0999

 リカバリジャッジ        0120-675-507

 国土交通省住宅局住宅総合整備課 03-5253-8509


(beeクリニック マネー外来)敷金返還:上 原状回復費用 普通に使えば負担なし
2005.11.12 東京朝刊 5頁 be週末b5 写図有 (全3,076字) 
 賃貸住宅から引っ越しする時に気になるのは、敷金がいくら戻ってくるかです。注意して使っていたのに、想定以上の修理費を差し引かれて不愉快な思いをした人も多くいます。そのルールを調べてみました。(松浦新)

 Q 引っ越しで敷金トラブルを抱える人は多いね。

 A 左の円グラフの内側を見てほしい。beモニターを対象に10月に行ったアンケートで、引っ越しをしたことがある人に、返ってきた敷金が何割ぐらいだったかを聞いたものだ。

 全額が返ってきた人も19%いるけど、全く返ってこなかった人が20%。返ってこないどころか追加の請求をされた人も5%いる。それに対して、「どのくらい戻るべきだと考えるか」を聞いた質問の答え(外側の円グラフ)を見ると、8割以上戻るべきだと考える人が68%になる。

 Q 借り手が考える以上に負担は大きいね。

 A 敷金は何十万円にもなることがあるからね。賃貸住宅を退居する時には、貸す方も借りる方も少しでも自分に有利な解釈をしようとするから、感情的なもつれが生まれることがある。賃貸住宅の契約は、昔からの慣習を引きずっていて、一般的な契約から見ると貸す側に有利なものも多い。消費者意識が高まっているので、トラブルも増えているんだ。

 Q 敷金返還の基本ルールはどうなっているの。

 A 借り手が退居する時には「原状回復」をする義務があるんだ。

 Q 「ゲンジョウ」って言うのは、元々の姿のことをさすのかな。借りた時の姿に戻すとしたら、リフォーム代は多額になるね。

 A 建物は普通に暮らしていても、時間がたてば傷みが出るよね。だから、借りている人が補修しないといけないのは、通常の使用ではない、故意や過失などで壊れたり汚れたりしたものに限られるんだ。例えば、時間がたてば畳が色あせたりするのは当然だよね。そういうものは直さなくてもいい。

 Q なるほど。でも、通常の使用の範囲を判断するのは難しそうだね。

 A そこで、国土交通省は裁判例などをもとに、98年に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をまとめて公表した。上の一覧表を見てほしい。例えば、引っ越しの時にテレビや冷蔵庫を動かすと、背面にあたる部分の壁が黒くなっていることがあるよね。そういう壁の補修はどちらの負担だと思う?

 Q それは借り手が直さないといけないような気がするなあ。

 A いや、その必要はないんだ。テレビや冷蔵庫は生活の必需品といえるよね。そういうものを使ってできた汚れは「通常の使用」の範囲に入る。エアコンも生活必需品と考えていいのではないかという判断が示されている。

 Q 「善管注意義務」なんて、聞き慣れない言葉が書いてあるけど。

 A 「善良な管理者の注意義務」という法律用語の略なんだ。簡単に言うと、普通なら気づくはずの注意を払って生活したかどうかということだね。だから、日照でフローリングの床が色落ちすることは借り手の責任ではないけど、もし、雨漏りしているのを知っていながら大家さんに連絡せずに放置していてフローリングが色落ちするなどしたら、「善管注意義務違反」を問われる可能性がある。

 Q 退居したあとに業者が行う清掃の代金(クリーニング代)を取られることがあるね。

 A 「通常の清掃」をして明け渡せば、払う必要がない。ガイドラインには、ゴミの撤去、掃き掃除、ふき掃除、水回り、換気扇、レンジ回りの油汚れの除去などとなっている。ただし、通常の業者クリーニングで消えない汚れなどは払う必要がある。たとえば、たばこのにおいは消えにくいので、借り手が負担することが多いようだ。

 Q でも、クリーニングを行うことが契約書に書いてある場合があるね。

 A それは、原状回復の義務を超えた負担になるので、「特約」といえる。ただし、特約は「暴利的でないなどの客観的、合理的理由」がないと無効の可能性がある。相場より安い家賃設定をした場合などで、借り手が「特約」であることを承知して契約していれば有効とみなされる可能性がある。

 Q ところで、住んだ期間は影響しないの? 住んだ側に責任があったとしても、長い間使ったものを新品にする負担は必要ないよね?

 A そうだね。ガイドラインでは、減価償却の考え方を使っている。たとえば壁紙やカーペットなどの「内装材」は6年で価値が10%になると考える。1年で15%価値が下がるから、入居した時に新品の壁紙で、4年たって退居する時に張り替えが必要な傷をつけてしまったら、費用の4割を負担する。

 Q なんでも6年なの?

 A 日本住宅性能検査協会によると、残存価値が10%に下がる期間は内装材を6年、浴槽などの設備を8年で考えるということだよ。ふすまや畳表などは「消耗品」の扱いで、破ってしまった場合などは経過年数を考えずに修理費を負担しないといけない。

 Q 壁紙なんかは一部だけを替えると、ほかと釣り合わなくなってしまうよね。

 A 確かに、破れたのは壁紙の一部でも、大家さんは部屋全部を張り替えないといけなくなるだろうね。ただし、ガイドラインは、その費用のすべてを借り手が負担するのは、大家さんが利益を得すぎる結果になるとしている。その部屋の一面分程度を替える費用のうち、残存価値分を負担すればいいという判断が示されている。

 (1)戻った敷金は

 全額        19%

 8割以上      16

 5割~8割     21

 2割~5割     14

 2割未満       6

 ゼロ        20

 追加料金を取られた  5

 (2)どのくらい戻るべきか

 全額             37%

 8割以上           31

 5割~8割          17

 2割~5割           4

 2割未満            1

 追加料金までは取られたくない  5

 戻らないもの          5

   *

 10月にbeモニターを対象に行ったアンケートの結果。(1)は実際に戻った敷金が預けていた敷金に占める割合。引っ越しをしたことがある人のうち、「社宅」「持ち家」「忘れた」などで「その他」と回答した人を除く1646人の内訳。(2)は、どのくらい戻るべきと考えるかの回答。ケース・バイ・ケースなどという「その他」の回答を除いた2255人の内訳

 ■「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の例

 事象  特に破損がない畳の表替え

 負担  大家

 考え方 入居者入れ替わりによる物件の維持管理上の問題

   *

 事象  フローリングのワックスがけ

 負担  大家

 考え方 通常の生活で必ず行うとまでは言い切れない

   *

 事象  家具の設置による床、カーペットのへこみなど

 負担  大家

 考え方 家具保有数が多いという我が国の実状があるので、設置は必然的

   *

 事象  日照や建物の構造欠陥による雨漏りで発生した畳やフローリングの変色

 負担  大家

 考え方 日照は通常の生活で避けられないものであり、構造上の欠陥は、借り手が発見したにもかかわらず放置したものでなければ、責任はない

   *

 事象  借り手の不注意で雨が吹き込んだことなどによるフローリングの色落ち

 負担  借り手

 考え方 善管注意義務違反または過失に該当する場合が多い

   *

 事象  冷蔵庫下のサビ跡

 負担  借り手

 考え方 ふき掃除で除去できる程度であれば通常の生活の範囲と考えられるが、それを放置して床が汚損した場合は借り手の善管注意義務違反に該当する場合が多い

   *

 事象  テレビ、冷蔵庫などの後ろの壁面の黒ずみ

 負担  大家

 考え方 テレビ、冷蔵庫は通常の生活をしていく上で必需品なので、黒ずみが出来ても通常の使用ととらえられる

   *

 事象  エアコン設置による壁のビス穴、跡

 負担  大家

 考え方 一般的な生活をしていく上で必需品になってきており、通常の損耗と考えられる

   *

 事象  台所の油汚れ

 負担  借り手

 考え方 使用後の手入れが悪く、ススや油がついている場合は、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多い

 事象  たばこのヤニ

 負担  程度による

 考え方 喫煙自体は用法違反に当たらず、クリーニングで除去できる程度であれば問題ないが、通常のクリーニングで除去できない程度のヤニやにおいは通常の損耗といえないことが多い

 (国土交通省のガイドラインから抜粋。ガイドラインは不動産適正取引推進機構で入手できる。価格は900円。電話は03-3435-8111。ホームページはhttp://www.retio.or.jp/)


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