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安倍退陣求めた新聞は?~各紙社説読み比べ 

 自民党の歴史的大敗から一夜明けた30日朝。朝刊各紙の「社説」を読み比べ、主張の傾向を分析してみます。安倍政権への「ベッタリ度」もみえてきました。

 傾向は2:2:2

 大別すると、安倍首相の退陣を求めたのは「朝日」「毎日」、それに対し擁護派は「読売」「産経」、退陣までは求めないけれども早期衆院解散、総選挙を求めているのが「日経」「東京」という図式でした。

 最も厳しいのが朝日新聞です。

 「参院選・自民惨敗―安倍政治への不信任だ」と題する社説は、「衝撃的な選挙結果である」という書き出しに始まり、有権者は安倍首相の「実績に対して、はっきりと『不合格』の審判を下した」と断じています。

 「首相は結果を厳粛に受け止めるとしながらも『私の国づくりはスタートしたばかり。これからも首相として責任を果たしたい』と述べ、政権にとどまる意向を表明した。まったく理解に苦しむ判断だ」。
 さらに「首相はもっと真剣に今回の結果を受け止め、潔く首相の座を退くべきである」と促しています。

 毎日新聞は、「今回の結果は国民による『安倍政治』への不信任と受け止めるべきだろう。首相の政治責任はあまりにも明らかであり、続投が民意に沿った判断とは思えない」と、やはり退陣を迫っています。

 日本経済新聞は「有権者の厳しい審判を厳粛に受け止め、謙虚な政権運営を心がける必要がある」と指摘しました。
 しかし、「参院選で負けたからといって首相が辞めなければならないわけではない参院選は政権選択の選挙ではない。安倍首相が辞めても次の首相は自民党内のたらい回しで選ばれるから基本的に何も変わらない。参院選の結果で首相が頻繁に変わることは本来、好ましいことではない」と続投を容認しています。
 そのうえで「政局の動揺を収束させるためには早期に衆院を解散して民意を問い直すことが基本的に望ましい。そこで民主党が第1党多数派になれば政権交代となり、自民党が第1党になれば民主党との大連立か、政界再編によって新たな多数派形成をめざすことになるだろう」。

 要するに日経は「衆院解散派」ですね。
 同じ部類に入るのが東京新聞社説ではなかなか結論を書いてこないが、一番最後になって「首相にも要望する。あなたはいまだ総選挙の洗礼を受けていない。ぜひ、速やかな政権選択選挙を、と。」と結び、衆院解散、総選挙を求めています。


 一方、安倍首相応援団はどう書いているかというと。。。

 「参院与野党逆転 国政の混迷は許されない」というタイトルで安倍首相擁護論を展開したのは読売新聞
 「厳しい選挙結果にもかかわらず、安倍首相は、『新しい国づくりに責任を果たす』と繰り返し強調した。引き続き「戦後レジームからの脱却」を掲げ、憲法改正や教育再生に取り組む決意の表明である」
 「それには、選挙の審判を重く受け止め、民主党との協調も模索しつつ、態勢の立て直しを図らねばならない。」と結んでいます。
 自分たちの主張に沿った政策を展開する安倍政権をあくまでも守ろうという意思の表れといえそうですね。

 産経新聞も同様に、安倍首相の続投表明を支持。 「日本が取り組むべき内政・外交の課題山積を踏まえ、懸案の解決に不退転の決意を示したのであろう」と首相の決断を持ち上げました。
 「『戦後レジーム(体制)』からの脱却を掲げ、憲法改正を政治日程に乗せ、教育再生の具体化を図るなど、新しい国づくりに向かおうとした安倍首相の政治路線の方向は評価できる」とまたまた自分たちの主張に沿っていることを理由に安倍路線を持ち上げつつ、「それを実現させる態勢があまりに不備であったことは否定できない」と小言を言っています。
 ただ「首相はこの敗北をまず真摯(しんし)に反省しなければならない。教訓をいかにくみ取り、安倍政権の態勢をどう立て直すか。内閣改造などを通じて首相の指導力が厳しく問われる」と指摘しています。まずは大敗を「反省」して、立て直しなさいという現政権への温かい「お言葉」のようです。


参院選・自民惨敗―安倍政治への不信任だ

2007年07月30日 朝日新聞

衝撃的な選挙結果である。

 安倍首相は昨秋の就任以来、この参院選での勝利に狙いを定めて、さまざまな手立てを講じてきた。有権者はその実績に対して、はっきりと「不合格」の審判を下した。

 しかし、首相は結果を厳粛に受け止めるとしながらも「私の国づくりはスタートしたばかり。これからも首相として責任を果たしたい」と述べ、政権にとどまる意向を表明した。まったく理解に苦しむ判断だ。

 ●民意に背く続投表明

 さすがに自民党内にも首相の責任を問う声が出ている。すんなりと続投が受け入れられるとは思えない。首相はもっと真剣に今回の結果を受け止め、潔く首相の座を退くべきである。

 それにしても、すさまじい惨敗ぶりだ。自民党は30議席台へ激減し、ライバル民主党に大きく水をあけられた。非改選議席を加えても、民主党に第1党を奪われた。1955年の自民党結党以来、第1党の座を滑り落ちたのは初めてだ。「政権を選ぶ衆院選とは違う」というには、あまりに度を超えた敗北だ。

 公明党も後退し、与党全体で過半数を大きく割り込んだ。与党は衆院で7割の議席を押さえているものの、参院での与野党逆転はこれまでの国会の進め方を根本的に変えることになるだろう。

 全国で、安倍自民党に対する「ノー」の声が渦巻いた。

 「自民王国」のはずだった地方の1人区でばたばたと議席を失い、参院自民党の実力者、片山虎之助幹事長まで落選した。2年前の郵政総選挙で小泉自民党が席巻した大都市部でも、東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知で民主党が次々に2人当選を果たした。

 2年前、自民党を大勝させた無党派層が、今度は一気に民主党に動いたのだ。自民支持層のかなりの部分が野党に流れたのは、政権批判の強さを物語る。

 衝撃は自民党内に広がっている。中川秀直幹事長や青木幹雄参院議員会長は辞任する。それでも首相が続投するとなれば、世論の厳しい反応が予想される。

 まして、与野党が逆転した参院を抱え、これからの政局運営や国会審議は格段に難しくなるはずだ。参院で安倍首相らへの問責決議案が出されれば通るのは確実な勢力図だし、混乱と停滞は避けられないのではないか。

 ●1人区の怒り、深刻

 敗北の直接の引き金になったのは、年金記録のずさんな管理に対する国民の怒りだった。さらに、自殺した松岡前農水相や後任の赤城農水相らの「政治とカネ」の問題、久間前防衛相らの暴言、失言の連発が追い打ちをかけた。

 首相にとっては、不運の積み重なりだったと言うこともできる。だが、ひとつひとつの問題の処理を誤り、傷口を広げたのはまさに首相自身だった。

 年金では「浮いたり、消えたり」した支払い記録の不備が次々と明らかになり、後手後手の対応に追われた。政治資金の問題も、松岡氏をかばい続けて自殺という結果を招き、後任に起用した赤城氏にも同じような疑惑が発覚。総裁選での論功や自分の仲間を重視する人事の甘さが次々に浮かび上がってしまった。

 その一方で、国会では数を頼みに採決強行の連続。うんざりだ、いい加減にしろ……。広がったのは安倍氏への同情や共感より、安倍政治への基本的な不信ではなかったか。

 選挙結果で注目すべきは、とくに1人区で自民党が不振を極めたことだ。地方の経済が疲弊する一方で、高齢者ばかりの町や村が増える。人々の不安と不満が膨らんでいるのに、自公政権は本気で取り組んでくれない。そうした思いが底流にあると見るべきだ。

 都市で集めた税金を、公共事業などを通じて地方に再配分する。良くも悪くも自民党政治を支えてきたメカニズムだ。それが終わりを告げたのに、代わりの方策が見つからないのだ。

 ●優先課題を見誤った

 地方の疲弊に象徴される格差への国民の不満、将来への不安は、都市住民や若い世代にも共通するものだ。とりわけ弱者の暮らしや安心をどう支えるのか。これこそが、小泉改革を引き継いだ首相が第一に取り組むべき課題だった。

 ところが、首相が持ち出したのは「美しい国」であり、「戦後レジームからの脱却」だった。憲法改正のための国民投票法をつくり、教育基本法を改正し、防衛庁を省に昇格させた。こうした実績を見てほしい、と胸を張ってみせた。

 有権者にはそれぞれ賛否のある課題だろう。だが、それらはいまの政治が取り組むべき最優先課題なのか。そんな違和感が積もり積もっていたことは、世論調査などにも表れていた。

 自民党は成長重視の政策などを打ち出し、実際、景気は拡大基調にある。なのになぜ負けたのか、真剣に分析すべきなのに、首相が「基本路線には(国民の)ご理解をいただいている」と政策継続の構えを見せているのは解せない。

 政治はこれから激動の時代に入る。与野党に求められるのは、衆参で多数派がねじれるという状況の中で、対立だけでなく、お互いの合意をどうつくり、政治を前に進めていくかの努力だ。

 自民党は、これまでのような強引な国会運営はやりたくてもできない。だが、民主党もいたずらに与党の足を引っ張るだけなら、次は国民の失望が自分たちに向かうことを知るべきだ。

 そんな新しい緊張感にあふれる国会を実現するためにも、首相は一日も早く自らの進退にけじめをつける必要がある。



毎日新聞 2007年7月30日 3時31分
 
社説:自民惨敗 民意は「安倍政治」を否定した

 参院選は自民党が歴史的敗北を喫した。与党は過半数を大幅に下回り民主党は参院で第1党となった。

 安倍晋三首相にとっては、全国の有権者に審判を仰ぐ初の国政選挙だった。私たちは今回の参院選を「安倍政治」を問う選挙であるとともに、自民、民主両党による2大政党化の進展を占う選挙と位置付けてきた。

 選挙結果について安倍首相は29日夜、「国民の声を厳粛に受け止めなければならない」としながらも、自らの進退については「改革続行、新しい国造りを約束してきた。この約束を果たしていくことが私に課せられた使命だと決意している」と続投する意向を明らかにした。

 与党内には「参院選は政権選択選挙ではなく首相の進退は問われない」という声もある。

 しかし98年の44議席を下回り、40議席を切る大敗北である。今回の結果は国民による「安倍政治」への不信任と受け止めるべきだろう。首相の政治責任はあまりにも明らかであり、続投が民意に沿った判断とは思えない。

 6年任期の参院では3年ごとに議員の半数が改選される。

 このため今後少なくとも3年間は法案成否の主導権は野党に握られる。衆院で再議決する道はあるが混乱は必至だ。

 今後の政策遂行上、まず課題となるのは11月1日で期限切れとなるテロ対策特別措置法の延長問題である。さらに来年度予算編成との関連で本格的な消費税論議も始めなくてはならない。北朝鮮の核問題に関する6カ国協議への対応など外交上の難問も山積している。

 首相は参院選敗北にもかかわらず続投を決意したからには、早期に衆院を解散し、改めて信を問うべきである。

身内の論理に不信増す

 自民党大敗の大きな理由は、国民が「安倍政治」は自分たちの方を向いていないと受け止めたからだろう。

 5000万件に及ぶ年金記録漏れに対して当初、政府・与党の反応は鈍かった。首相は追及する民主党議員に対して、年金制度に対して不安をあおると切り返した。

 対策に本腰を入れ出したのは5月下旬に毎日新聞などの世論調査で支持率が急落してからだ。

 年金記録の持ち主を捜すための名寄せ作業を急いだ。保険料支払いを証明できない人に対する給付策も打ち出した。

 しかし国民は参院選対策用のパフォーマンスという疑念を消せなかった。本社世論調査では現行対策について8割が解決策にはならないと回答した。

 「政治とカネ」の問題も首相は甘く見た。佐田玄一郎前行革担当相、松岡利勝前農相、赤城徳彦農相らの事務所経費問題が続いた。 首相は要領を得ない説明を繰り返す閣僚をかばうばかりで、政府与党全体が不信の目で見られるようになった。

 自民、公明両党の賛成で改正政治資金規正法が成立した。これは資金管理団体だけに限定し、5万円以上の経常経費支出に領収書添付を義務付ける内容だ。

 これも赤城氏の後援会のような団体は規制外で、さっそくザル法の正体を露呈してしまった。

 本来、内閣の重しになるべきベテラン閣僚からは、柳沢伯夫厚生労働相の「産む機械」発言や久間章生前防衛相の「(原爆投下は)しょうがない」発言が飛び出した。それは内閣の緊張感の欠如とともに首相の指導力不足をあらわにする結果となった。

 事務所経費問題に加え、総裁選で支援を受けた仲間で作った「お友だち内閣」の大きなツケが回ったものだろう。このように首相は国民の視点に立つことなく、身内の論理に終始した。それが国民からの不信を決定的なものにした。

 「官から民へ」をキャッチフレーズにした「小泉改革」を継承するのかどうかも不明確だ。

 郵政造反組を復党させたが、これは05年の郵政解散の大義を無視したものだ。首相は親しい議員の復党にこだわったが、小泉純一郎前首相の構造改革路線への抵抗ともみられた。6月の「骨太の方針」も族議員や官僚に配慮し総花的になってしまった。

 一方で参院選の日程をずらしてまで会期を延長して、公務員制度改革関連法などを成立させた。前首相のような政治主導をアピールしたかったのだろう。

 しかし採決の強行を繰り返すドタバタぶりで、かえって国民の信用を失った。

重い責任を負った民主党

 首相は「戦後レジームからの脱却」を前面に掲げてきた。実際に改正教育基本法や防衛省昇格、国民投票法なども成立させた。集団的自衛権の憲法解釈の見直しについても進めている。

 国民は暮らしの実感から離れた理念先行型の安倍路線に対して明らかに「ノー」と言ったと言える。

 参院で第1党に躍り出た民主党の責任は重い。

 民主党の小沢一郎代表は憲法や安全保障政策などはあえて選挙戦では触れずに、年金や格差是正など生活に焦点を当てた。

 消費税率は据え置き方針をとり、農家に所得補償する「戸別所得補償制度」も打ち出した。

 1人区で自民党を圧倒したのは中央・都市との格差に矛盾を抱く地方の支持を得たためだろう。「市場主義」は、強い者だけが生き残るという不満も吸収した。

 政権政党を目指すならば、まず財源問題をはじめとする具体的な政策を提示し実現への努力が求められる。

 安保政策でも米国との摩擦を覚悟でインド洋やイラクから自衛隊を撤退させることができるか。党内の意見を集約し統一した方向性を打ち出せるか、政権担当能力が問われよう



安倍自民が惨敗 『私の内閣』存立難しく

7月30日朝刊 東京新聞 http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2007073002037109.html

安倍政治にノーの判定が下された。どんな主張も政策も国民の信頼を失っては実を結べない。参院選の突風はそう教えている。首相の「私の内閣」は存立可能か。

 「小泉・郵政総選挙」から二年足らず。小泉後の安倍晋三政権が信を問うた参院選はまるでオセロゲームのように「黒白」が反転した。

 一議席を争う二十九選挙区で小沢一郎氏の民主など野党が安倍自民党を圧倒した。改選数三や五の大都市圏も自民と公明の候補は押しまくられた。東京、埼玉、神奈川などで民主に、どちらかがはじき出された。

 比例代表では自民得票率が前回参院選をさらに割り込んだ。凋落(ちょうらく)ぶりは目を覆うばかりである。

 「敗因は安倍さん」の声
 選挙の最終盤に自民比例候補の陣営で聞いた悲鳴と落胆が耳に残る。「なんで安倍さん、こんなに人気ないの?」「九年前の橋本政権の参院選最終盤と空気が同じ。負ける」

 橋本政権は必ずしも不人気だったわけでない。が、長い不況に手をこまぬく与党の失政批判に加え、財政政策の首相のブレ発言がたたって自民は大敗。四十四議席だった。

 安倍氏は首相就任十カ月の信任を求めた。教育基本法を変えた、改憲へ国民投票法をつくった、想定外だった年金の記録不備問題も手を打っている、と。

 遊説先では、公務員制度の改革や地域の再生、攻めの農政も掲げて「改革か逆行か」と訴えた。

 戦後生まれ初の日本国首相は戦後体制脱却を唱える。しかし気負いは空転した。語る言葉が目次の域を出ず、戦後の何が悪く、だからどうする、を語れなければ、国民がついていくはずはない。

 首相は気づいていなかったのだろうか。先の国会の強引な運営は支持離れに拍車をかけた。「空気が読めない」-こんな批判が与党にくすぶる中での、橋本政権時の獲得議席も下回る惨敗に、与党からも「敗因は安倍さん」の陰口が聞こえる。

 進行していた基盤の劣化
 野党は国民の年金不安への政府対応、そして閣僚らの失言や不透明なカネの説明不足をめぐっても、後手を繰り返す首相の甘さを突いた。

 政権リーダーの「資質」が焦点になれば反政権側に追い風が吹く。30%前後に下落した内閣支持率は選挙前から与党の劣勢を物語っていた。だが、これほどの逆風の厳しさは、それだけでは説明し切れない。

 自民の支持基盤の甚だしい劣化である。前兆はかねてあった。突然変異のように人気を集めた小泉長期政権で忘れられていた深刻さが、今春の統一地方選で実感されていた。

 四十四道府県議選と主要都市の市議選結果が参院選の自民敗北をかなりの確率で予言している。都市で民主は議席を大幅に伸ばし、自民の金城湯池の農村部でも躍進した。

 今回参院選の一人区でいえば、県議大幅減の岡山や滋賀、九州でも自民の幹部やベテランが敗れた。東北の一人区、四国は全滅。石川、富山ですら自民は苦杯をなめた。

 かろうじて当選できた人も、農家の所得補償などを掲げる小沢民主に守勢に立たされた。縮むパイを蜜月のはずの自民と公明が奪い合う。そんな事態が各地で展開された。

 自公で二議席死守を目指す大都市の選挙区で、公明から自民へパンフ配布の要求があった。実際に配ったかどうか“監視”つきで。終盤には自民の県議一人につき五百票分を融通するよう公明が求めた。

 「こっちだって当落の瀬戸際」と自民陣営。母屋を乗っ取られる、堅い宗教団体票を当てにした連立を続けていれば、支持基盤が弱るのは当たり前だよねぇ、といった自民陣営の運動員の嘆きを聞いた。

 猛烈な逆風は連立与党間にも冷気を吹かせた。そもそも右傾斜の目立つ安倍自民と公明の相互にある違和感は、自公の参院半数割れで増幅されておかしくない。

 忘れるわけにいかないのは、主要な争点が小泉・安倍政権通算六年半の決算でもあったことである。地方・弱者切り捨て政治だ、と格差拡大を攻める野党に、与党の反論は迫力を欠いた。地方の荒廃が進み、都市住民にも不公平感が募る中での「政権審判」選挙だったのだ。

 歴史的といっていい惨敗だが首相は続投するという。自公両党の執行部も退陣はあえて求めていない。ただ求心力の減衰は避けられまい。

 内閣改造で急場をしのぐにも人事は就任来の首相の“鬼門”である。国会はじめ政権の運営は困難を強いられよう。よほどの覚悟が要る。

 速やかな総選挙が常道だ
 勝った民主にはもちろん第一党の重い責任がのしかかる。衆院は与党圧倒多数のままだ。参院の多数野党が政治をかき乱すと映れば、世直しを期待した有権者は裏切られたと思うだろう。悲願の政権も遠のく。

 とはいえ政権との安易な妥協は困る。多少の混乱なら談合よりましである。衆院の与党の暴走を抑え、参院で再考を促せるなら、二院制本来の機能発揮が期待できるからだ。

 首相にも要望する。あなたはいまだ総選挙の洗礼を受けていない。ぜひ、速やかな政権選択選挙を、と。


参院与野党逆転 国政の混迷は許されない

7月30日付・読売社説http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070730ig90.htm

「歴史的」な参院選の結果である。1955年の保守合同後、参院で初めて野党が第1党となった。

 続投を表明した安倍首相の政権運営や国会のあり方などに大きな影響を及ぼすのは必至だ。日本の政治構造の変動につながる可能性もある。

 自民党が惨敗し、公明党も不振だった結果、与党は過半数を割った。民主党は大躍進し、第1党に躍り出た。

 民主党には、年金記録漏れや不明朗な事務所費処理、閣僚の軽率な問題発言など、政府・与党の“失策”に対する有権者の批判が追い風となった。

 ◆民主党の責任は重い◆

 景気拡大の実感がないとする地方や労働者などに根強い「格差」への不満も、安倍政権や与党への批判につながったようだ。建設業、農業、郵便局など、自民党の伝統的な組織基盤が揺らぐ1人区に焦点を当てた小沢代表の選挙戦術も奏功したのだろう。

 衆院で与党、参院で野党がそれぞれ過半数を占めるという衆参“ねじれ”現象にあって、参院第1党として、参院運営の主導権を握ることになる民主党の責任は、極めて重い。

 小沢代表はかねて、参院での与党過半数割れの実現を通じて政権交代を目指す、と主張している。政界再編も視野に入れて、政府・与党を衆院解散に追い込む狙いだろう。

 衆院で可決された政府・与党の法案が送付されても、参院で否決や修正が出来る。野党が参院に法案を提出、可決して衆院に送付し、政府・与党を揺さぶることも可能になる。首相や閣僚の問責決議案を可決することも難しいことではあるまい。

 こうしたことが常態化すれば、国政の混迷は避けられない。

 ◆政策の遂行が重要だ◆

 衆院で3分の2を超える勢力を確保する与党は、参院で否決された法案を再可決し、成立させることが出来るが、現実には容易なことではない。

 懸念されるのは、内外の重要政策推進への影響である。

 例えば、年金・医療・介護など社会保障制度を安定させるための財源としての消費税率引き上げを含めた税財政改革である。

 野党はいずれも消費税率引き上げに反対だが、いたずらに対立するだけでは、安定した社会保障制度構築の展望を早期に開くことが困難になる。

 米軍再編問題も、野党は、沖縄県の米海兵隊普天間飛行場の移設に、どう取り組むのか。米軍再編推進特措法に反対した民主党の対応によっては、北朝鮮の核の深刻な脅威の下にある日本の平和と安全にとって死活的に重要な日米同盟の信頼を損ないかねない。

 テロ対策特措法の延長問題も、民主党が反対して延長出来ないとなれば、日本は国際平和活動に消極的な国と見なされ、国際社会での発言権の低下を招く恐れがある。

 そうした事態が現実になれば、二院制のあり方や参院の存在意義にも、大きな疑問符を付けられるだろう。

 日本が直面する内外の重要課題を考えれば、民主党は、政略のみに走るのではなく、責任政党としての姿勢をしっかり保つことが重要である。

 自民党の惨敗は、多様な要因が複合した逆風の結果だろう。

 年金記録漏れ問題は、年金行政への不信を生んだ。

 辞任した佐田玄一郎行政改革相や、自殺した松岡利勝農相と後任の赤城農相らの不明朗な事務所費の処理は、「政治とカネ」への疑念を招いた。

 久間章生防衛相が辞任に追い込まれた原爆投下に関する「しょうがない」発言への批判も痛手となった。

 総裁選での論功行賞人事が、こうした問題閣僚の起用につながったとして、安倍首相の任命責任を厳しく問う声もあった。だが、歴代、論功行賞人事のなかった政権はない。

 ◆政権を立て直せるか◆

 最大の争点となった年金や格差の問題は、いずれも過去の政権の“負の遺産”と言うべきものだ。必ずしも、政権発足後10か月の安倍首相に全責任を負わせることは出来まい。

 年金記録漏れは、長年の社会保険庁のずさんな実務処理によって生じた。適切な対応を怠ってきた歴代の内閣の責任が大きい。

 格差の拡大は、「失われた10年」の間、経済再建に有効な手を打てなかったことや、小泉前政権で、竹中平蔵・経済財政相が主導した極端な市場原理主義にも原因がある。

 安倍首相が、小泉政治の行き過ぎた面と一線を画していれば、小泉政治のマイナス面と同罪と見られることはなかっただろう。

 厳しい選挙結果にもかかわらず、安倍首相は、「新しい国づくりに責任を果たす」と繰り返し強調した。引き続き「戦後レジームからの脱却」を掲げ、憲法改正や教育再生に取り組む決意の表明である。

 それには、選挙の審判を重く受け止め、民主党との協調も模索しつつ、態勢の立て直しを図らねばならない。

(2007年7月30日3時33分 読売新聞



【主張】自民大敗 民主党の責任は大きい
http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/shucho/070730/shc070730000.htm

2007/07/30 05:37産経新聞

自民、公明の与党が参院の過半数を大きく割り込む大敗を喫した一方で、安倍晋三首相は続投を表明した。


首相は反省し態勢強化図れ

 日本が取り組むべき内政・外交の課題山積を踏まえ、懸案の解決に不退転の決意を示したのであろう。

 だが、首相はこの敗北をまず真摯(しんし)に反省しなければならない。教訓をいかにくみ取り、安倍政権の態勢をどう立て直すか。内閣改造などを通じて首相の指導力が厳しく問われる。

 他方、民主党は勝利し、参院第一党に躍進した。それだけに民主党は国政上、より大きな責任を負ったことを自覚しなければなるまい。政権を担う責任政党に脱皮することなく、これまでのような対決路線を踏襲していては、いずれ国民から手痛いしっぺ返しを受けることになろう。

 与野党が対立する法案は、衆院を通っても参院で否決される公算が大きいが、国益に資する法案は党派を超えた協力こそが必要なのである。

 与党への逆風は幾つか挙げられる。やはり最後まで吹き続けた逆風は、年金記録の紛失問題だった。政府・与党は受給者らの不安を解消しようと、早急に対応策をまとめて実施したが、不信感を払拭(ふっしょく)することには至らなかった。

 ≪不信感払拭できず≫

 同じく選挙直前に表面化した赤城徳彦農水相の事務所経費問題が、「政治とカネ」をめぐる有権者の政治不信に拍車をかけた。

 さらに敗北の大きな要因は魅力ある候補者を擁立できなかったことにもある。青木幹雄参院議員会長や片山虎之助参院幹事長ら、参院側責任者の選考判断が、時代に合っていないことの表れといえる。

 首相が取り組むべきは、改革路線の担い手にふさわしい清新な候補者の擁立だ。新たな参院執行部人事により、変革を行う好機が現出したのではなかろうか。

 一方、民主党は年金記録紛失問題を追い風に、国民生活重視の立場を打ち出した。憲法、教育を通じた国の再生に力を入れる首相の姿勢から、負担増にあえぐ国民や地方格差などへの配慮が不足していると判断し、自民党との差別化を図った結果、政権への批判票の受け皿を作ることに成功したといえよう。首相は地方でこうした不満が高まっていることを直視し、有効な対策を実施しなければならない。

 「戦後レジーム(体制)」からの脱却を掲げ、憲法改正を政治日程に乗せ、教育再生の具体化を図るなど、新しい国づくりに向かおうとした安倍首相の政治路線の方向は評価できるが、それを実現させる態勢があまりに不備であったことは否定できない。

 相次ぐ閣僚の辞任などを招いたのも、首相の指導力不足に原因があるといえよう。党役員人事や内閣改造により、突破力や発信力のある人材の登用が不可欠である。

 ≪「対決」では混迷へ≫

 問題は、選挙によって生じた衆参のねじれ現象という新たな政治構造の中で、どのように改革を円滑に実現していくか。与党との対決姿勢を強めてきた民主党が、責任政党にふさわしい立ち居振る舞いをできるかどうかに、大きくかかっている。

 さっそく、秋の臨時国会では海上自衛隊がインド洋で補給活動などを行うためのテロ対策特別措置法の延長措置をとる必要がある。

 民主党は選挙公約で、イラクに派遣されている自衛隊の撤退を掲げたが、日米同盟や国際貢献に不可欠なテーマについて、現実的な対応をとれるかどうかは、テロ特措法への対応が試金石になるだろう。

 憲法改正の核心となる9条や集団的自衛権の行使容認の問題についても、民主党は明確な見解を示すべきだ。

 参院議長ポストの獲得にあたり、民主党は共産、社民両党とも共闘することになるだろう。しかし、野党連合では現実的な外交・安保政策をとることはできまい。

 小沢一郎民主党代表が提唱する政権交代可能な二大政党はよしとするが、衆院解散に追い込むため、これまでのような政局本位で対決路線を続けるのかどうか。民主党は、真に政権を担える勢力たりうるかどうかを証明することが求められている。


社説 安倍首相はこの審判を厳粛に受け止めよ
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20070729AS1K2900329072007.html


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